キングクリムゾン来日公演に向けて-1

  2015年11月にキングクリムゾンが来日する。12年半ぶりということである。12年半前の公演はどこで観たかというと、これが大阪。空席が目立ったことが印象に残っている。当時のメンバーは、ロバート・フリップエイドリアン・ブリュー、パット・マステロット、トレイ・ガン、だったと思う。「しょうがない」の頃だった。客が入らなくてもしょうがない時期であった。
クリムゾン・ファンなら、メンバー構成によって演奏される曲は想像がつく。80年代、90年代のブリューがヴォーカルの時代は、70年代の曲はほとんど演奏しなかった、というか演奏できなかった、と言っていい。ブリューの声質が70年代楽曲とは、合わなかったのである。1回の公演中、せいぜい1曲程度古い曲を演奏(レッド、太陽と戦慄パート2)する程度であった。
 
つまり、新曲主体。1st~USA、70年代のクリムゾンを少しでも期待してライヴに行くと完全に裏切られる結果となっていた。
しかし、80年代90年代の楽曲は、70年代に比べて質が落ちていると言うわけではない。良い曲もたくさんある。70年代楽曲においても、大したことがない曲はある。「ポセイドン」は、アルバム全体がひどい。「リザード」はとてもクリムゾンのアルバムとは思えない。この2枚と比べたら80~90年代楽曲のほうが遥かに優れていると言える。ただし、インストルメンタル曲だけだが。
 
 80年代、90年代クリムゾン最大の弱点は、リード・ヴォーカルに恵まれなかったこと、に尽きる。ブリューは、セカンド・ギタリストその他で優秀なのだから、別途専属ヴォーカリストを雇えばよかったのである。
2015年、今回の編成ではヴォーカルが(クリムゾンのコピーkバンド出身)なので声質的には70年代楽曲に合っている。メル・コリンズも戻ってきた。ドラマーが3人居る。というわけで70年代曲をがんがん演奏している。逆に、ブリュー時代の曲は演奏しない、ということらしい。ブルフォードが居ないので演奏したくてもできない?曲もあるのでは?
まー、要するに、大多数の70年代のクリムゾンが好きなファンにとっては理想のセット・リストにはなりそうだ。
と、ここまでは普通の考え。
 
 ここからは長年ファンを続けてきた私の考え。
こんなベンチャーズみたいなクリムゾンでいいのか?プログレッシヴとは言えないぞ、レトログレッシヴだぞこれでは。いくらロバート・フリップが弾いているとはいえ、セルフ・カヴァーだよねぇ、どう考えても。本当にこれでいいのだろうか?
 -Part2へ続く-